市川春子さんの「虫と歌」を読んだ。

彼女の作品は初めて読んだ。



市川春子




彼女の作品を読み進めれば読み進めるたび

他の作家の事を思い出した。

ミニマムな背景と印象的なベタと余白は

「逆光の頃」あたりのタナカカツキ。

シニカルな言い回しやテンポの良い笑いを含んだセリフは

よしもとよしとも。

コマの演出は高野文子。

色んな作家を思い出した。



これが不思議と気持ちのいいものだった。

影響受けてるなぁ。

勉強しているなぁ。

そういう風には思わなかった。

はは、好きなのかな?

そう思った。

その誰かっぽいと感じた演出も

総合的に彼女の世界にしっかり馴染んでいて

「引用している」という感じではなかったから。



「その作品」でなく、絵柄でなく、ストーリ―でなく

作者に惹かれる、という感覚はとても気持ちがいい。



ストーリーに関して言えば

冷静に観れば、似た様な構成のものが多い。

この本は4つの短編が収録されているが

自分の生活に入り込んだ「人のカタチをした何か」を育てる

という物語が3つを占める。



だけど、同じ展開、という気はしない。

表現したい事が同じでもバリエーション持たせて凄い

とかそういうのでもない。

ただ

市川さんにとって、何かあるんだろうな。

そのストーリー展開は、何かあるんだろうな。

そう思った。

それだけだった。



ストーリーに振り回されず

技法に振り回されず

しっかりとそこに「市川春子」という人がいて

漫画を描いている。

そういう感じの短編集だった。



なんともない日常にほんの少しのファンタジー。

そんな話が好きなんだって気付く。

すこしくすぐったいが、どうにも好きらしい。



流れ星がタンスのネジあてになってるなんて

そんなもんドキドキするでしょうが。