しいてゆう

言葉にできない?んな事知ってる。

東京都写真美術館「今森光彦写真展 昆虫4億年の旅」

いや、暑いですね。暑いっていうか、熱いですね。熱いっていうより、痛いですね。もうほんと嫌だ。

というわけで、そんな猛暑の中いって来ました。東京都写真美術館「今森光彦写真展 昆虫4億年の旅」展。今森光彦という写真家の展覧会なんだけど、この人は熱帯雨林やら、砂漠やら森やら山やらとにかく自然を、そしてそれに関わる人間をテーマに写真を撮っている人で、今展はそんな今村光彦さんの「虫の写真」を集めた展覧会…というわけです。いやぁ、虫?ここに来て虫?夏休みだから?こどもターゲット?実はあんまり興味なかったんだケド、ところがドッコイ、とても魅力的な展覧会でした。






え〜、何を隠そう俺は生物的な知識がほとんどありません…。だから、被写体になっている彼らが何者で、何処で、何をしているところなのかは正直わからなかったけれど、全然問題無し。十分に楽しめました。冒険心と好奇心に満々た今森光彦さんのカメラアングルは、難しいコトは抜きにして、純粋に心に響きます。はしゃぎたくなります。虫好きそうなやんちゃな子ども達で溢れた展示会場でひとり呟いた言葉は…


「何これ?」
「すっご!」
「うひーーー」


というひどく原始的な言葉ばかり…。でもそれだけ頭ではなく、心に届く、素敵な写真達なのです。まさに童心にかえる、というやつです。だけど、そういう回帰的な魅力だけじゃなく、誰がみても驚くような虫の捉え方やその瞬間に、前衛的な魅力も感じるのです。

蜜を集めて巣に戻ろうとしているハチ、その羽ばたき。
敵を威嚇して上体を大きく反らすカマキリ、その表情。
なんだかわけわからないケド自らの色を変化させるサナギ。その色彩。





すべて神秘的なまでの生命力に溢れ、また普段観ることのできないユーモラスな造形美を有しています。観たことない形、色、生活。「虫の表情」なんて感じたのは初めてですよ…。そんな新しい視点を提供する斬新さと、童心にかえるような懐かしさが共存する今村光彦さんの虫の世界。ぜひみなさんも彼のレンズに導かれ、迷いこんではいかがでしょ?東京都写真美術館で今週末まで!



今森光彦 「昆虫: 4億年の旅」

会場: 東京都写真美術館
スケジュール: 2008年07月05日 〜 2008年08月17日
住所: 〒153-0062 東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
電話: 03-3280-0099 ファックス: 03-3280-0033


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カテゴリ: 写真 

珍しいキノコ舞踊団「珍しいキノコ大図鑑」

今日は銀座のル・テアトルでやってる珍しいキノコ舞踊団の「珍しいキノコ大図鑑」を観て来ました。コンテンポラリーダンスカンパニーです。場所を選ばずどこでも踊っちゃうキュートでガーリーで無農薬有機栽培ダンスダンスダンス。メルヘンで少女的な舞台セットや脚本…だけどそれは可愛かったりキレイなだけじゃなくて、ゆるく切ない毒を孕んでいて幼い記憶を呼び起こしてはチクチクする。代表の伊藤千枝さんは映画「めがね」の振り付けとかも担当しているんだよ。今回は今までの公演のいろんなシーンを切って張り付けてつくったベスト版。という事で駆けつけてきました。






彼女達のダンスをみるのは二回目だけど、珍しいキノコ舞踊団の魅力は「近さ」なんだと思った。うん。とにかく、いろんな意味で「近い」なって思う。それが魅力なんじゃないかって…。

まず、距離的に近い。舞台から降りて踊ったり、ホワイエで踊ったり、もう距離的に近い。

演出や脚本もキッチュで、身近に感じる。なんか、学芸会を見ているかおような気分にさせられるキッチュさがむんむんで、それがとてもノスタルジックで見に覚えのある雰囲気でスーっと心の中に入ってくる。気持ちがいい。







そしてダンスの動きが、自分の心に近い。踊ろう!いやなんでも良いから体を動かそう!と思った時にやりそうな動き…な気がする。ジャズダンスやヒップホップダンスやブレイクダンスとかは、やるべくしてやってるんだけど、珍しいキノコ舞踊団の振りはもっと自然発生的に生まれてる動きな気がする。彼女達の体の動きは心の動きそのもの。だからそれを二人で動いているのをみると「コミュニケーションをとってる!」って思ったり、ひとりで動いているのをみると夢や深層を感じるんだと思う。

彼女達を観てると踊りたくなる!体を動かしたくなる!それはとても素直で、心と直結してる純粋な衝動。こんな衝動を覚えるのも、彼女達のダンスが、観る人に近いからなんだろうな。全然踊らされてる感じがしないんだもの。振り付け?覚える?そんな感じ全然しないよ。みんなすごく生き生きとナチュラルに動いてる。その自然さが、観る人の心とリンクして、何だか、涙が出るよ。







ん〜何かがたくさん心の中に注ぎ込まれて、温かいです。人肌です。
俺も踊りたいなぁ…


なんつって。





珍しいキノコ舞踊団
珍しいキノコ大図鑑
2008/8/8-8/10
@ル・テアトル銀座
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カテゴリ: 舞踏 

東京都庭園美術館「舟越桂 夏の邸宅」

いや、最近は忙しいねぇ。ブログを書く時間がないねぇ。でも、展覧会に行く時間はあるんだぜぇ♪というわけで、東京都庭園美術館で開催中の「舟越桂 夏の邸宅」展にいってきましたよ。

舟越桂さんは1951年生まれの木彫作家さん。内面性まで形にされてるみたいな人物を木から彫り出す。その目は大理石で出来ていて、どの人物造形にもない深淵な視線と、その人物のもつ雰囲気を具現化する事に成功してる。この展覧会では、1980年代から現在にかけてのそんな彼の木彫作品が、ドローイングや版画と合わせて紹介されている。別に年代別に紹介されているわけではないのだけれど、作品の移り変わりが非常に興味深く、引き込まれた。




1980年代は具象彫刻と言って差し支えないであろう人物を彫っている。リアルな人物像だ。彫り込みも丁寧で、表面も滑らかに仕上げられている。具象彫刻。上記したように、それらの持つ表情や佇まいにはその人物の持つ感情、歴史、経験、記憶、過去、未来、様々な要素が含蓄されているようで、観るものはそれに想いをはせる。木彫でできた人物とそれが内包する精神と自分とを、ゆっくり、ゆっくりと絡ませていく。







1990年代に入ると、その内面性は顕著に表面に突出する。色や造形、表情また骨格さえも抽象性を増し、そこには人物のもつ身体のリアリティはない。精神性は身体と馴染んでいる。いや、身体の中に留めていた内面が、溢れ出て身体とシンクロしているのかもしれない。とにかく目に見える形でなく、その奥深く、奥深くへの視点がずっと強くなり、それが形になっているかのよう。






そして最近の作品シリーズ。スフィンクス。すべてにおいて中立的な印象を受ける。男性でもなく、女性でもない。善でもなく、悪でもない。人間でもなく、それ以外でもない。何者かわからない。ただ、ひとつわかる事があるとすれば、それはスフィンクスが確実に何かを見つめている。そして何かを考えている。という事。俺はこのスフィンクスの作品が大好き。


やはり舟越は、ずっと「人間」を彫っているのだろう、と思う。人間の表面、そしてそれが語りうる人間の内面を表現した80年代。人間の内面を外面に可視的に表現した90年代。そして、今現在はそれら内面やら外面のすべての集合体、つまり「人間」そのものを見つめる目を、「人間」そのものを見つめる存在を掘り出しているのだろうと思う。正確に言えばスフィンクスは人間じゃない…スフィンクスは人間を見つめる存在だ。スフィンクスが持つ表情、視線、佇まい、それを感じ取れば感じ取る程、スフィンクスの視線の先が見えてくる。つまり、「人間」が見えてくる。人間から遠ざかったが、限りなく、人間に近づいている。スフィンクスは「人間」の彫刻なのだと思う。

そして特筆すべきは舟越特有の「作られている感」だ。スフィンクスを間近で観ると、生々しいまでの刀跡、打ち込まれたボルト、継ぎ足された木材、などが目に入り、それらはすべてスフィンクスが「作られたもの」である事を語る。そうなると観ている人はどうしていいかわからなくなる。こんなにも奥深くリアルな表情や有機的な存在感を持ったスフィンクスが「作られたもの」である事を同時に告げられると、どうしていいかわからなくなる。「人間」を客観的にみつめる「人間」でない何かは、作られたものである。そう。ここで「人間」を見つめているのは神のような何か超越的な存在でなく、舟越桂といういち「人間」によってつくられた木彫作品にすぎないのだ。これはもう何か、語りきれない様々なニュアンスを含蓄している。神がいないこの世の中で、人間の行いを客観的に見る人がいないこの世の中で、舟越はそんな目を作ったのかもしれない。作った。作った。そう。作ったのだ。人間を追求していった作家は、人間の表面を作り、内面を作り、それらすべてを見つめる目を作った。その目に見つめられる俺たちは何を思う?何を感じる?











こんな話がある。


フェキオン山のスフィンクスが、そこを通る人間に問いかけた。「朝は四本、昼は二本、夕方は三本足。この生き物は何か?」答えられなかった者はスフィンクスに食い殺されたそうだが、オイディプスが正解を答えるとスフィンクスは崖から身を投げた死んだ。

その正解とは、「人間」だ。





舟越桂さんの木彫作品が、そしてドローイングがこんなにたくさんまとまって観れる機会はそうありません。是非、足を運んで観てください。そして、「人間」が作った「人間」を見つめる目を、あなたの目で見つめてきてください。




「舟越桂:夏の邸宅ーアールデコ空間と彫刻、ドローイング、版画」展

会場: 東京都庭園美術館
スケジュール: 2008年07月19日 〜 2008年09月23日
8月25日-31日は午後8時まで開館、8月27日臨時開館
住所: 〒108-0071 東京都港区白金台5-21-9
電話: 03-3443-8500 ファックス: 03-3443-3228




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カテゴリ: 美術